過敏性腸症候群

過敏性腸症候群の定義および診断基準は
「腹部不快感または腹痛が、排便または便通の変化にともなって生じ、臨床像としては排便障害を呈する機能性消化管障害の1つ」となっています。

成因    確定していません。
何らかの素因のある人が、消化管刺激因子である胆汁酸、消化管ホルモンなどの過剰状態が生じたり、免疫異常である食物アレルギー、急性胃腸炎などに曝されると、医療機関を受診するほどではないが正常ではなり状態が発生します。

この状態の人が過剰なストレス状況下に置かれると身体症状が増悪し、症状が、あるレベル以上になると医療機関を受診することになります。

この状態が過敏性大腸症と考えられます。

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過敏性腸症候群は大腸疾患の中で最も高頻度のようです。
一般人口の約10~20%を占めるといわれています。

また、過敏性腸症候群の人は一般人の中に15~20%いると考えられています。
性比は男:女=1:1.6です。

20~40歳代に多いと統計にありますが加齢とともに減少するようです。
しかし、高齢になると再度頻度が高くなると考えられています。

病型として下痢型、便秘型、混合型および分類不能型があります。
下痢型は男性が多く、便秘型は女性が多いようです。
軽症は70%、中等症は25%、重症は5%程度と統計上では分類されます。

大腸運動はストレスに影響を受けますが、IBSの症状と慢性ストレスによる大腸運動の変化との関連はいまだ学問的には明らかではない。

診断
兎の糞のような丸い大便がでる方は症状があれば過敏性大腸症と診断してよいと考えます。

一般に過敏性腸症候群は長期にわたり症状の寛解・増悪を繰り返います。

患者さんの症状が不変でも、症状をセルフコントロールし、社会的適応能を身につけていければ問題はないわけです。
最終的な目的は社会的適応です。

完全に症状がとれることを望むことが逆に社会的適応に関しては大きな障害になることが多いような印象です。
望みが高すぎると不満がどうしても大きくなります。

過敏性腸症候群に罹患してから3~6か月後に発症する症例が5~15%位あるようです。
腸炎後にIBSが発症した場合には、臨床像がやや異なる面があるので、「腸炎後過敏性腸症候群」と称するする事があるようです。

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過敏性大腸症の検査

身体所見および検査所見は他疾患の鑑別に大切ですが、両者ともに過敏性大腸症に特異的な所見はありません。

検査項目の選択は個々の患者の状況に応じた常識的範囲とした方がよいでしょう。
過敏性大腸症は長期間にわたり寛解・再燃を繰り返すので、症状が一定の変動範囲にあるうちは臨床検査を追加する必要はない事が多いと経験的には感じます。

大腸癌との鑑別は年齢、遺伝性、血便の有無などで必要で内視鏡検査が必要な事があります。

最近は若年でも大腸癌の発生があり得ますので先入観にとらわれないようにする必要はあります。

過敏性大腸症の治療

過敏性大腸症の治療画一的なものはありません。
個々の症例の心理状態、環境などで状況はことなり難しいです。
理想的治療は個々の症例を詳細に解析し、病態や病状などに応じて緻密に治療戦略を立てる個別的治療となります。

しかし、個別的治療を行うには治療方針を定めるうえでの関連要因が多く、対応するだけの十分な治療薬剤の種類もはっきりはしていません。

生活指導

過敏性大腸症は生活の場に問題のあることが多いように感じます。
身体症状のなかでも、便通異常や腹痛は、生活習慣のなかでの悪い条件づけによる行動変容の結果である場合もあり複雑です。

患者さんはストレスと関連があることに気づいていないこともあります。
自分の状態を自覚してもらう事で解決する場合もあります。
食事、便通、睡眠、ストレスなどの日誌を数週間記載してもらい症状の悪化と関連することが見いだせ、症状に対する考え方が変わり、症状が改善する場合もあります。

食事指導としては高線維食をすすめますが、必ずしも食事の内容は治療に必要とは限りません。
ただ高線維食は便秘型に効果がある場合があります。

薬物治療
1)身体症状の薬物治療:
下痢、便秘、腹痛の強いときに薬物治療は有用です。
線維製剤であるポリカルボフィルカルシウム 、抗コリン薬、およびトリメブチンなどには効果が期待できる場合が多いですが、完全に症状がとれるわけではありません。
薬物治療を行うにあたっては、精神的な因子がかなり大きいという事に注意が必要です。

2)向精神薬:
抗不安薬は、一時的なストレスにより不安・緊張感が生じた場合や、身体症状がさらに不安を増すといった症例に用いる場合があります。
実際にはよく効く事が多いのですが・・・眠くなる事が多く実際には使用できない場合が多いです。

抗不安薬の投薬量は、中枢性に不安を除去するほどの量を用いなくとも、自律神経に対する作用から症状が改善する印象です。

投薬量は精神科領域での使用量の1/3程度で十分の場合が多いようですが、症例によっては十分量の抗うつ薬の投薬を必要とすることもあります。個々で対応する必要があります。

実社会で活動できるような状態に薬でコントールは難しいので、最終的にはご本人の気持ちの切り替えで必要なのですが、これができれば通院されなくなるような印象があります。

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